胸腺上皮性腫瘍に対する根治的放射線治療

  胸腺腫瘍

Süveg K et al. Transl Lung Cancer Res. 2021. PMID: 34012817


・切除が不能な胸腺上皮性腫瘍や全身状態が不良であったり併存症のために手術が行えない場合には根治的放射線治療が行われることがある。
・手術が行われた場合でも、肉眼的残存が認められた場合(R2切除)には、根治的放射線治療が行われる(1)。

・高いレベルのエビデンスは存在しないものの、切除が不能な胸腺上皮性腫瘍に対しては放射線治療または化学放射線療法が一般に行われている。
・大半の研究は後ろ向き研究であるが、第2相試験が2つ報告されている。
・ランドマークとなるLoehrerらが報告した前向き試験では、シクロフォスファミド/ドキソルビシン/シスプラチン レジメンによる導入化学療法後に、総線量54Gyの根治的放射線治療が行われた。
・この治療戦略による全奏効率は70%で、5年生存率は53%、不完全切除後の成績と比較して良好な結果であった(2)。

・最も大規模な前向き第2相試験は Fanらが報告したもので、進行期(85.7%がstage IVであった)胸腺上皮性腫瘍に対し、初期治療としてエトポシド/シスプラチン併用の化学放射線療法を行ったものである。
・この研究では切除不能な胸腺上皮性腫瘍に対するエトポシド/シスプラチン併用の強度変調放射線治療(IMRT)の安全性と有効性が示された。
・客観的奏効率は85.7%で、5年無増悪生存割合 29.5%、5年全生存割合は56.2%で、有望な結果であった(3

・Masaoka-Koga stage IVB胸腺上皮性腫瘍に対する最初に推奨される治療は化学療法後の奏効や緩和をゴールとした手術や根治的放射線治療であるが(1)、これらの研究や他の報告結果から(4, 5, 6, 7, 8)、一部の stage IVB気の胸腺腫や胸腺がんにおいても、根治的化学放射線療法は有効な治療戦略であることが示唆される。

・Haoらからは体幹部定位放射線治療(SBRT)の報告がなされており、良好な局所制御と低い急性期毒性の発生率を報告しており、手術や通常分割照射が困難な胸腺上皮性腫瘍患者や、胸腺上皮性腫瘍の転移に対する緩和治療における体幹部定位放射線治療の実効可能性が示唆されている(9)。


1. Girad N et al. Ann Oncol. 2015. PMID: 26314779. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26314779/
2. Loehrer PJ Sr et al. J Clin Oncol. 1997. PMID: 9294472. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/9294472/
3. Fan XW et al. Int J Radiat Oncol Biol Phys. 2020. PMID: 31987968. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31987968/
4. Komaki R et al. Front Oncol. 2014. PMID: 24455488. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24455488/
5. Venuta F et al. Ann Thorac Surg. 1997. PMID: 9436540. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/9436540/
6. Chen YY et al. Chang GUng Med J. 2004. PMID: 15508874. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15508874/
7. Hishida T et al. Eur J Cardiothorac Surg. 2016. PMID: 26116920. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26116920/
8. Han L et al. Oxf Med Case Reports. 2019. PMID: 31374122. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31374122/
9. Hao XJ et al. Sci Rep. 2017. PMID: 29051511. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29051511/


<関連>
日本肺癌学会>胸腺腫診療ガイドライン>放射線治療https://www.haigan.gr.jp/guideline/2021/3/2/210302020100.html

LEAVE A COMMENT