限局性前立腺がんに対する放射線治療における線量増加とアンドロゲン抑制療法(ホルモン療法)の併用

  前立腺がん

Kishan AU et al. Eur Urol. 2022. PMID: 35469702
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35469702/

・限局性前立腺がんに対する放射線治療;線量増加やホルモン療法の併用によるベネフィット
・ネットワーク・メタアナリシス


<背景>
・前立腺がんに対する放射線治療(RT, radiotherapy)の線量増加や短期間(STADT, short-term androgen deprivation therapy)または長期間(LTADT, long-term androgen deprivation therapy)を追加することによる相対的なベネフィットは不明。

<目的>
・放射線治療の線量増加 ± 短期/長期アンドロゲン抑制療法の併用を比較したランダム化試験を対象として、ネットワーク・メタアナリシス(NMA, network meta-analysis)を行った。

<対象と方法>
・多施設共同ランダム化試験13試験、合計11,862例のindivividual patient dataを用いたネットワーク・メタアナリシスを行った。
・患者に対しては、低線量(65以上74Gy未満)± 短期/長期アンドロゲン抑制療法、高線量照射(74Gy以上)、高線量照射 ± 短期/長期アンドロゲン抑制療法のいずれかの治療が行われていた。

<評価項目>
・主要評価項目:遠隔無再発生存(MFS, metastasis-free survival)
・Frequentist NMAおよびBayesian NMAを行い、遠隔無再発生存や生化学的無再発生存(BCRFS, biochemical recurrence-free survival)によりランク付けを行った。

<結果>
・経過観察期間の中央値は8.8年(IQR 5.7-11.5)
・放射線治療の照射線量によらず長期アンドロゲン抑制療法の追加による治療成績の改善効果が大きく、ついで短期のアンドロゲン抑制療法の追加により治療効果の改善が認められた。
・アンドロゲン抑制療法の併用あり(HR 0.97, 95% CI 0.80-1.18)や併用なし、短期のアンドロゲン抑制療法併用(HR 0.99, 95% CI 0.8-1.23)、長期のアンドロゲン抑制療法併用(HR 0.94, 95% CI 0.65-1.37)、いずれにおいても放射線治療の線量増加による遠隔無再発生存の改善は認められなかった。
・P-score ranking および rankogram analysisに基づくと、高線量の放射線治療と長期間のアンドロゲン抑制療法の併用が、生化学的無再発生存(BCRFS)および長期成績の最適な治療であった。

<結論>
・通常分割照射により79.2Gyまでの線量増加単独やアンドロゲン抑制療法併用による線量増加による遠隔無再発生存の改善は認められなかった。
・一方、放射線治療の線量によらず、放射線治療単独と比較して、短期/長期のアンドロゲン抑制療法の追加により、遠隔無再発生存の改善効果が認められた。
・放射線治療の線量増加により生化学的無再発生存(BCRFS)の改善が認められ、生活の質(QOL)の悪化なく照射ができる場合には、アンドロゲン抑制療法を併用した高線量照射が最適な治療法かもしれない。

<患者サマリ>
・高線量の放射線治療による前立腺がんの遠隔転移や死亡リスクの低下効果は認められなかった。
・しかしながら、高線量の放射線治療により、前立腺特異的抗原(PSA, prostate-specific antigen)の再発リスクの低下効果が認められた。
・アンドロゲン抑制療法(ホルモン療法)の併用により全ての治療成績の改善効果が認められた。
・アンドロゲン抑制療法(ホルモン療法)を併用し、安全に放射線治療の照射線量を増加させることが最適な治療法かもしれない。

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