乳がん>乳房切除術後放射線治療>腫瘍浸潤リンパ球

 

乳がん>乳房切除術後放射線治療>腫瘍浸潤リンパ球


Tramm T, et al. Acta Oncol. 2021. PMID: 34705573

・放射線治療によるベネフィットの予測における、腫瘍浸潤リンパ球(TILs, tumor-infiltrating lypmphocytes)の価値に関しては不明です。
・今回の研究の目的は、乳房切除術後放射線治療(PMRT, post-mastectomy radiotherapy)における、腫瘍浸潤リンパ球と再発や生存成績との関連性を、ランダム化試験に登録された患者データを用いて評価すること。
・対象と方法:間質腫瘍浸潤リンパ球を組織学的に DBCG82bc試験に登録された 1,011の高リスク乳がん組織から推定した。
・患者は1982年から1990年に診断され、全乳房切除と腋窩リンパ節郭清が行われ、乳房切除術後放射線治療施行群と非施行群にランダム化され、その後に全身療法が行われた。
・結果:30%のカットオフ値を用いて、106/1011例(10.5%)に腫瘍へのリンパ球の高度の浸潤が認められた(high TILs)
・Multivariate regression analysisにおいて、高レベルの腫瘍浸潤リンパ球は、遠隔転移再発リスク減少、良好な全生存と関連していた。
・高レベルの腫瘍浸潤リンパ球と局所領域制御との有意な関連性は認められなかった。
・低レベルの腫瘍浸潤リンパ球と比較して、高レベルの腫瘍浸潤リンパ球が認められる患者では、乳房切除術後放射線治療20年後の全生存の改善効果が大きかった(interaction p=0.028)
・20年全生存割合(低レベルの腫瘍浸潤リンパ球):乳房切除術後放射線治療なし 21%、乳房切除術後放射線治療あり 31%(差は8%)
・20年全生存割合(高レベルの腫瘍浸潤リンパ球):乳房切除術後放射線治療なし 26%、乳房切除術後放射線治療あり 48%(差は22%)
・腫瘍浸潤リンパ球と乳房切除術後放射線治療との関連は特にエストロゲン受容体陰性の腫瘍で大きかった。
・エストロゲン受容体陰性で、腫瘍浸潤リンパ球 低レベルの患者では、乳房切除術後放射線治療による20年全生存割合の改善効果は認められなかった(28% vs. 24%, 差は-4%)
・エストロゲン受容体陰性、腫瘍浸潤リンパ球 高レベルの患者では、乳房切除術後放射線治療後20年全生存割合は、乳房切除術後放射線治療なし 20%、乳房切除術後放射線治療あり 43%(差は23%)。
・腫瘍浸潤リンパ球高レベルと低い遠隔転移再発リスクにも同様な関係性が認められた。
<結論>乳がん患者において、高度の腫瘍浸潤リンパ球が認められる患者では、乳房切除術後放射線治療(PMRT)による全生存の改善効果が大きく、この関係性は特にエストロゲン受容体陰性の患者で強い様子。腫瘍浸潤リンパ球が高レベルの患者では、乳房切除術後放射線治療後の遠隔転移再発リスクも低かった。これらの治験からは、乳房切除術後放射線治療は照射野外の全身性効果を含めた免疫反応のトリガーとなっていることが示唆される。


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