乳がん>鎖骨上窩リンパ節転移>集学的治療

 

乳がん>鎖骨上窩リンパ節転移>集学的治療


Diao K, et al. Int J Radiat Oncol Biol Phys. 2021. PMID: 34710521

・同側鎖骨上窩リンパ節転移を有する乳がんに対する集学的治療(multimodality therapy)
・後ろ向き研究、米国
・目的:診断時に同側の鎖骨上窩リンパ節転移が認められる乳がんの予後は従来不良であった。
・鎖骨上窩リンパ転移は通常外科的には切除が行われないため、放射線治療が重要な役割を担っている。
・しかしながら、適切な局所治療法や最近の治療成績、予後因子に関しては確立していない。
・対象と方法:2014年-2019年、cN3c 乳がん患者で、ネオアジュバント化学療法、外科的手術、アジュバント(術後)放射線治療が行われた患者をレビューした。
・全例に対して鎖骨上窩リンパ節に対する領域放射線治療が行われていた。
・施設のガイドラインでは、鎖骨上窩リンパ節転移に明らかな転移の残存がない場合には10Gy、残存が認められる場合には16Gyのブースト照射を推奨していた。
・全生存、無再発生存、局所領域無再発生存、鎖骨上窩無再発生存を解析した。
・結果:173例を解析し、経過観察期間(中央値)は2.8年。
・年齢(中央値)54歳、76例(44%)はエストロゲン受容体陽性/HER2陰性、100例(58%)はT3/4病変であった。
・10例(6%)に対して頸部郭清が行われて居た。
・156例(90%)に対し鎖骨上窩に対し累積線量60Gy以上の照射が行われていた。
・5年全生存割合 73%、5年鎖骨上窩無再発生存割合 95%、5年局所領域無再発生存割合 86%、5年無再発生存割合 50%。
・5年全生存割合(鎖骨上窩への累積線量 60Gy以上 vs. 60Gy未満)75% vs. 39%(p=0.04)
・多変量解析において、鎖骨上窩への累積線量(60Gy以上)、節外進展、ホルモン受容体、全身状態(ECOG status)が全生存と関連していた。
・5年鎖骨上窩無再発生存割合(頸部リンパ節郭清あり vs. 郭清なし)100% vs. 95%(p=0.57)
・化学療法後に鎖骨上窩リンパ節のサイズが1cm以上の患者で、頸部リンパ節郭清が行われなかった患者群の5年鎖骨上窩無再発生存割合は83%であった。
<結論>鎖骨上窩リンパ節転移陽性(cN3)乳がん患者において、鎖骨上窩に対するブースト照射を加えた集学的治療後の5年局所領域無再発生存割合は86%であった。頸部リンパ節郭清の役割は限定的で、化学療法と放射線治療で治療された患者群において、5年鎖骨上窩無再発生存割合はコホート全体で95%、化学療法後に1cm以上のリンパ節が残存していた患者では86%であった。鎖骨上窩リンパ節への60Gy以上の照射が良好な全生存と関連していたが、鎖骨上窩無再発生存や局所領域無再発生存、無再発生存との有意な関連は認められなかった。鎖骨上窩リンパ節転移陽性の患者で、忍容できる患者に対しては鎖骨上窩に対するブースト照射を考慮する必要がある。全身療法の発展にもかかわらず、およそ半数の患者では遠隔転移再発が認められ、治療後には慎重な経過観察が必要。


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