乳がん>髄膜病変

 

乳がん>髄膜病変


Takayesu J, et al. Int J Radiat Oncol Biol Phys. 2021. PMID: 34701799

・乳がん 髄膜病へ(leptomeningeal disease)に対する緩和的放射線療法
・後ろ向き研究、米国
・予後不良な乳がん髄膜病変(LMD, leptomeningeal disease)に対する放射線治療のベネフィットは定まっていない。
・今回の研究では、乳がん 髄膜病変患者の全生存および症候性の患者群における臨床的改善を評価し、緩和的放射線治療によるベネフィットがある患者の同定を試みた。
・対象と方法:2000-2020年、乳がんで、古典的な画像的髄膜病変(LMD)を有する患者(36%は細胞学的に確認されていた)で、緩和的全脳 および/あるいは 脊椎へ放射線治療を行った患者を後ろ向きに解析した。
・全生存は髄膜病変が診断された日からKaplan-Meier法により計算を行い、グループ間の比較にはlog-rank testを用いた。
・Multivariate Cox regression hazards modelsにより、エストロゲン受容体(ER, estrogen receptor)、プロゲステロン受容体(PR, progesteron receptor)、HER2、全身状態(ECOG PS)、全身疾患の状態(systemic disease status)の調整を行い、全生存との関連を評価した 。
・結果:64例の患者が同定され、年齢(中央値)、は50歳(IQR 31-69)であった。
・髄膜病変(LMD)は脳(58%)、脊椎(22%)、脳+脊髄(20%)に認められた。
・63%の患者では同時に脳転移が認められ、57%の患者ではエストロゲン受容体/プロゲステロン受容体が陽性、22%はHER2陽性、38%はトリプルネガティブ乳がんであった。
・症候性の患者のうち、脳神経症状(34%)、頭蓋内病変に伴う感覚/運動障害(25%)、脊椎病変に伴う感覚/運動障害(27%)、頭痛/嘔気(14%)で、42%で>1ドメインの症状が認められた。
・2/3の患者に対しては放射線治療前にステロイドの投与が行われており、頭蓋内への治療が行われていた患者は13%であった。
・照射線量(中央値)30Gy/10回の照射後、何らかのドメインにおける症状の緩和が、放射線治療前に症状が認められた患者の59%で得られていた。
・脳神経症状改善率 12%、頭蓋内病変に伴う感覚/運動障害改善率 15%、脊椎病変に伴う感覚/神経障害改善率 19%、頭痛/嘔気改善率 14%。
・21%の患者では>1ドメインの症状の改善が認められた。
・全生存期間(中央値):トリプルネガティブ乳がん 2.1ヶ月、HER2+ 5.2ヶ月(p=0.003)
・多変量解析にて、エストロゲン受容体陽性(HR 0.4, 95% CI 0.2-0,8, p=0.009)、HER2陽性(HR 0.4, 95% CI 0.2-0.9, p=0.018)が良好な全生存と関連していた。
・ホルモン受容体陽性は、放射線治療後の症状改善の独立した予測因子であった(OR 3.5, 95% CI 1.2-11, p=0.029)
<結論>乳がん、髄膜病変(LMD)患者の予後は不良であるが、緩和的放射線治療により症状の改善効果が認められ、ホルモン受容体陽性やHER2陽性の比較的予後が良好な患者ではベネフィットがあるかもしれない。


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