肝細胞がん>門脈腫瘍栓>免疫チェックポイント阻害剤

 

肝細胞がん>門脈腫瘍栓>免疫チェックポイント阻害剤


Zeldin L, et al. Int J Radiat Oncol Biol Phys. 2021. PMID: 34701983

・門脈浸潤を伴う肝細胞がんに対する免疫チェックポイント阻害剤併用放射線治療
・後ろ向き研究、米国
・目的:Barcelona Cliniic Cancer (BCLC) 肝細胞がん stage C の患者において、最近の研究において、アテゾリズマブとベバシズマブの併用が新たな標準治療として確立された。
・しかしながら、この併用療法の対象となる患者は限られており、無増悪期間の中央値は6.8ヶ月程度で、局所治療の有用性が示唆される。
・今回の研究では、門脈腫瘍栓(PVT, portal vein thrombus)に対する、免疫チェックポイント阻害剤であるニボルマブ(nivolumab)と放射線治療を評価した。
・対象と方法:単施設にて、2016年-2020年、門脈腫瘍栓を合併した肝細胞がん患者に対しニボルマブと放射線治療の併用にて治療を行った患者を後ろ向きにレビューした。
・少なくとも1回以上経過観察のための画像検査が行われていた患者を適格とした。
・無増悪生存と全生存を評価した。
・結果:67例の患者の解析を行い、経過観察期間(中央値)は7ヶ月。
・42例(65.6%)は診断時に門脈腫瘍栓を合併した肝細胞がんで、他の患者は肝細胞がんに対する治療歴のある患者であった。
・37例(58%)に対してはニボルマブが放射線治療前 または 同時に投与されており、27例(42%)に対しては、放射線治療1ヶ月後以降にニボルマブの投与が行われていた。
・照射線量(中央値)40 Gy(30-50 Gy)で、44例(69%)に対しては体幹部定位放射線治療(SBRT, stereotactic body radiotherapy)により照射が行われていた。
・無増悪生存期間(中央値)3.8ヶ月、全生存期間(中央値)9.6ヶ月。
・Log-rank 解析において、診断時に門脈腫瘍栓が合併していた患者群と何らかの治療後に門脈腫瘍栓を合併した患者群の比較において、全生存や無増悪生存に差異を認めなかった(全生存期間 [中央値] 12.9ヶ月 vs. 8.7ヶ月, p=0.46; 無増悪生存期間 [中央値] 4.9ヶ月 vs. 2.9ヶ月, p=0.99)。
・VP1-2 vs. VP3+PVT(全生存期間 [中央値] 18.3ヶ月 vs. 9.4ヶ月, p=0.53, 無増悪生存期間 [中央値] 3.3 vs. 3.8ヶ月, p=0.44)、体幹部定位放射線治療 vs. 分割照射(全生存期間 [中央値] 9.2ヶ月 vs. 14.5ヶ月, p=0.69; 無増悪生存期間 [中央値] 4.2ヶ月 vs. 3.2ヶ月, p=0.30)、ニボルマブの投与時期 放射線治療前/同時 vs. 放射線治療後(全生存期間 [中央値] 10.7ヶ月 vs. 9.6ヶ月, p=0.41; 無増悪生存期間 [中央値] 4.2ヶ月 vs. 2.9ヶ月, p=0.73)にも差異を認めなかった。
・C型肝炎(HCV)の患者では、他の原因によるものと比較して全生存が良好であった(33.3ヶ月 vs. 8.7ヶ月, p=0.064)が、無増悪生存期間には差異を認めなかった(4.8ヶ月 vs. 2.8ヶ月, p=0.16)
・8例(13%)の患者は2年以上生存していた。
<結論>今回の後ろ向き研究の結果からは、門脈腫瘍栓を合併した肝細胞がんに対する免疫チェックポイント阻害剤のニボルマブと放射線治療の併用により全生存や無増悪生存の延長がえられる可能性が示唆された。どのような際にこの併用療法によるベネフィットが存在するかを確認するために前向き研究が必要。


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