脳転移>乳がん>定位放射線治療/定位手術的照射>HER2陽性

 

脳転移>乳がん>定位放射線治療/定位手術的照射>HER2陽性


Shumway JW, et al. Int J Radiat Oncol Biol Phys. 2021. PMID: 34701797

・HER2陽性乳がん 脳転移、抗HER2療法と定位手術的照射(SRS, stereotactic radiosurgery)の併用療法
・後ろ向き研究、米国
・目的:HER2陽性乳がん脳転移の患者において、全脳照射を避けたり、遅らせたりするために抗HER2療法と定位手術的照射(SRS)が併用されることが増えてきている。
・抗HER2療法としては、トラスツズマブ(ハーセプチン)、ペルツズマブ(パージェタ)、トラスツズマブ-エムタンシン(T-DM1、カドサイラ)、ラパチニブがある。
・HER2陽性乳がん 脳転移患者に対する定位手術的照射(SRS)の最適な施行タイミングに関するデータは少ない。
・対象と方法:単施設、後ろ向き研究。
・生検にて確認された乳がん、脳転移で定位手術的照射(SRS)が行われた患者を後ろ向きに解析した。
・Kaplan-Meier法を用いて治療成績を解析し、chi-square statisticsを用いて治療群間の比較を行った。
・結果:2009-2020年、82例の乳がん 脳転移患者に対していい手術的照射(SRS)が行われていた。
・33例(40%)はHER2陽性乳がんで、そのうち18例はホルモン受容体陽性であった。
・脳転移診断時、15例(45%)では>1個の頭蓋内転移(2-7個)が認められ、脳転移の最大径(中央値)は2.0 cmであった。
・15例では頭蓋外病変が非制御であった。
・脳転移の診断後、9例(27%)に対してまず全身療法が行われ(3例に対して T-DM1、1例に対し T-DM1+ハーセプチン+パージェタ、1例に対しラパチニブ+ハーセプチン+パージェタ、3例に対し化学療法+ハーセプチン+パージェタ、1例に対し化学療法)、全身療法開始から定位手術的照射施行までの期間(中央値)は18.6ヶ月であった。
・7例(21%)に対しては定位手術的照射(SRS)がまず行われ、これらのうち6例に対しその後全身療法が行われた(T-DM1 または ラパチニブを含めた多剤併用療法 4例)
・17例(52%)に対してまず全身療法と定位手術的照射(SRS)の同時併用が行われていた(3例はT-DM1、2例はT-DM1+化学療法、2例はラパチニブ、4例はハーセプチン+パージェタ、5例はホルモン療法、1例は化学療法)
・全生存期間(中央値):24.8ヶ月で、それぞれの治療群間の比較において、統計学的有意な差は認められなかった。
・4例(12%)に症候性の放射線脳壊死が認められ、3例はT-DM1と定位手術的照射(SRS)との併用例であった(T-DM1とSRSの同時併用は合計10例)
<結論>HER2陽性乳がん 脳転移に対し、抗HER2療法と定位手術的照射の併用後の生存成績は良好なものであった。全身療法と定位手術的照射(SRS)の順序は生存成績に明らかな影響を与えない様子。T-DM1と定位手術的照射の同時併用では放射線脳壊死リスクが上昇する可能性がある。


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