HER2過剰発現のある食道腺がんに対する集学的治療へのトラスツズマブの追加;NRG Oncology/RTOG 1010

  HER2, 食道がん

Safran HP et al. Lancet Oncol. 2022. PMID: 35038433
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35038433/

・HER2過剰発現を認める食道腺がんに対する集学的治療へのトラスツズマブ(trastuzumab)の併用
・NRG Oncology/RTOG 1010


<背景>
・トラスツズマブはHER2(ERBB2)に対するモノクローナル抗体。
・NRG Oncology/RTOG 1010試験の主な目的は、HER-2の過剰発現を認める食道腺がんに対する集学的治療(パクリタキセル/カルボプラチン併用のネオアジュバント化学放射線療法後の外科的手術)にトラスツズマブを加えることにより無病生存を改善できるかを評価すること。

<方法>
・NRG Oncology/RTOG 1010は第3相ランダム化試験で、米国111施設から症例集積を行った(NCT01196390)。
・適格基準:成人(18歳以上)の新規診断された病理学的に証明された食道腺がんで、AJCC 7th editionで T1N1-2 または T2-3N0-2、Zubrod performance statsus 0-2。
・化学放射線療法:パクリタキセル(50 mg/m2)、カルボプラチン(AUC 2)、毎週投与、6週間、放射線治療 50.4 Gy
・トラスツズマブ併用群ではトラスツズマブ(第1週 4 mg/kg、2週以降は 2 mg/kgを5週間)を化学放射線療法期間中に投与し、手術前に 6 mg/kgを1回、術後に6 mg/kgを3週ごと、13回投与した。
・主要評価項目:無病生存(DFS, disease-free survival)。

<結果>
・2010年12月30日-2015年11月10日、606例でHER2の評価が行われ、HER2養成の203例の適格例が登録、ランダム化された。
・化学放射線療法+トラスツズマブ群 102例、化学放射線療法群 101例。
・経過観察期間の中央値は2.8年(IQR 1.4-5.7年)。
・無病生存期間の中央値は、化学放射線療法+トラスツズマブ群 19.6ヶ月(95% CI 13.5-26.2ヶ月)、化学放射線療法群 14.2ヶ月(10.5-23.0ヶ月)。
・ハザード比は0.99(95% CI 0.71-1.39)、log-rank p=0.97。
・グレード3の治療関連有害イベント:化学放射線療法+トラスツズマブ群 41/95例(43%)、化学放射線療法群 52/96例(54%)。
・グレード4の治療関連有害イベント:化学放射線療法+トラスツズマブ群 20例(21%)、化学放射線療法群 21例(22%)。
・主なグレード3以上の治療関連有害イベントは、両群とも血液毒性(化学放射線療法+トラスツズマブ群 56%、化学放射線療法群 57%)または消化管障害(化学放射線療法+トラスツズマブ群 29%、化学放射線療法 21%)であった。
・化学放射線療法+トラスツズマブ群の34例(36%)、化学放射線療法群の27例(28%)に重篤な治療関連有害イベントが認められた。
・8例が治療に関連して死亡し、化学放射線療法+トラスツズマブ群 5例(5%)(気管支瘻、食道吻合部のリーク、肺感染、突然死、その他の原因による死亡)、化学放射線療法群 3例(3%)(多臓器不全 2例、敗血症 1例)であった。

<結論>
・HER2過剰発現、食道腺がんに対するネオアジュバント(術前)化学放射線療法へのトラスツズマブの追加は有効ではなかった。


<関連wiki>

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