中咽頭がんに対する放射線治療 vs. ロボット支援下手術 – ORATOR試験, 長期成績 –

  中咽頭がん, 手術, 放射線治療

Nichols AC et al. J Clin Oncol. 2022. PMID: 34995124
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34995124/

・中咽頭扁平上皮がんに対する放射線治療 vs. 経口的ロボット支援下手術。
・ランダム化試験、ORATOR試験(NCT01590355)、長期成績。


<目的>
・ヒトパピローマウイルス(HPV, human papillomavirus)感染拡大に伴い、中咽頭扁平上皮がん(OPSCC, oropharyngeal squamous cell carcinoma)の発生率が急速に高まっている。
・早期の中咽頭扁平上皮がん(OPSCC)に対する適切な治療は手術であるか、放射線治療であるかに関しては、臨床的に議論が残っている。
・早期の中咽頭がんに対する手術と放射線治療を比較したランダム化試験の長期成績を報告する。

<方法>
・T1-2, N0-2(4cm以下)の中咽頭扁平上皮がん患者を、放射線治療群(RT, radiotherapy)(N1-2の患者では化学療法を併用)と経口的ロボット支援した手術+頸部郭清群(TORS + ND, transoral robotic surgery plus neck dissection)にランダム化した。
・主要評価項目:1年時点での、MD Anderson Dysphagia Inventoryを用いた、嚥下の生活の質(QOL, quality of life)
・副次評価項目:有害イベント、その他のQOL、全生存、無増悪製おzん。

<結果>
・2012年8月10日-2017年6月9日の期間に、68例の患者がランダム化された(放射線治療群 34例、手術群 34例)。
・経過観察期間の中央値は45ヶ月。
・MD Anderson Dysphagia Inventory analysesによる評価では、手術群と比較して、放射線治療群で嚥下のQOLが1年時点までは良好であった(p=0.049)。
・1年以降では、その差は経時的に小さなものとなっていった(2年 放射線治療 86.0 vs. 手術 84.8, p=0.74; 3年 放射線治療 88.9 vs. 手術 83.3, p=0.12)。
・これらの差はいずれの時点においても、臨床的に意味のある変化の閾値までは到達しなかった。
・手術群(TORS + ND群)では、1年時点で疼痛や歯科的な問題が多く、2年、3年時点では軽快がみられた。
・手術群(TORS + ND群)では3年時点で栄養補助を開始した患者が多かった(p=0.015)
・口腔乾燥スコアはいずれの時点においても放射線治療群(RT群)に多く認められた(p=0.041)

<結論>
・中咽頭扁平上皮がんに対する放射線治療後と手術後の嚥下に関するQOL)の差は残存したものの、経時的にその差は小さなものとなっていった。
・中咽頭がん患者の治療にあたっては、手術治療と放射線治療、それぞれの良い点、悪い点に関する情報を患者に伝える必要がある。


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