完全切除が行われたIIIA期N2非小細胞肺がんに対する術後放射線治療 – Lung ART試験 –

Pechoux CL et al. Lancet Oncol. 2022. PMID: 34919827
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34919827/

・非小細胞肺がんで完全切除が行われたN2患者に対する術後放射線治療
・ランダム化試験、Lung ART(NCT00410683


<背景>
・非小細胞肺がん(NSCLC, non-small-cell lung cancer)患者において、術後放射線治療(PORT, postoperative radiotherapy)を用いることに関しては1998年以降議論がある。
・メタアナリシスの結果から、pN0やpN1の患者では術後放射線治療は生存成績を悪化させることが示されているが、pN2の非小細胞肺がんの患者への効果に関しては不明である。
・非小細胞肺がん(NSCLC)の治療においては多くの変化が起こっており、IIIA期 N2 非小細胞肺がん患者においては、3次元原体照射(3D-CRT)による術後照射の役割を評価する必要がある。
・今回の研究の目的は、術後放射線治療(PORT)を標準治療の一部とするべきかどうかを確認することである。

<方法>
・Lung ARTは第3相ランダム化試験で、非小細胞肺がんで、完全切除が行われ、細胞学的/組織学的に N2転移が証明された患者における、術後放射線治療非施行に対する、術後放射線治療の優越性証明試験である。
・ネオアジュバント(術前)やアジュバント(術後)化学療法の施行は許容した。
・18歳以上、WHO PS 0-2の患者を5カ国(フランス、英国、ドイツ、スイス、ベルギー)、64施設より集積した。
・患者を(1:1)の割合で、術後放射線治療群(PORT群)と放射線治療非施行群(non-PORT群)にランダム化した。
・Minimisation factor:施設、化学療法の施行、リンパ節転移が認められたstationの数、組織型、治療前のPET scanによる評価。
・術後放射線治療群(PORT群)では、54 Gy/27-30回の照射を行った。
・3次元原体照射(3D-CRT)を必須とし、一部の施設では強度変調放射線治療(IMRT)を許可した。
・主要評価項目:無病生存(DFS, disease-free survival)で、intention to treat にて3年時点の評価を行った。

<結果>
・2007年8月7日-2018年7月17日の期間に、501例(術後放射線治療群 252例、放射線治療非施行群 249例)が登録され、多くは治療前に18F-FDG PETによるステージングが行われていた(456例;術後放射線治療群 232例、放射線治療非施行群 224例)。
・2019年5月31日にデータをカットオフ、経過化s夏期間の中央値は4.8年(IQR 2.9-7.0)であった。
・3年無病生存率は、術後放射線治療群(PORT群) 47%(95% CI 40-54)、放射線治療非施行群(non-PORT群)44%(33-51)であった。
・無病生存期間の中央値は、術後放射線治療群(PORT群)30.5ヶ月、放射線治療非施行群 22.8ヶ月(17-37)であった(Hazard ratio 0.86, 95% CI 0.68-1.08, p=0.18)。
・主なグレード3/4有害イベントは、肺臓炎(PORT群 5% vs non-PORT <1%)、リンパ球減少(PORT 4% vs non-PORT 0)、疲労/倦怠(PORT 3% vs. non-PORT <1%)であった。
・晩期のグレード3/4心臓/肺毒性がPORT群 26例(11%)、non-PORT群 12例(5%)で報告された。
・2例が肺臓炎のために死亡し、部分的には放射線治療や感染が関連しており、1例は化学療法に伴う毒性(敗血症)のために死亡し、これらはすべて術後放射線治療群(PORT群)であった。

<結論>
・Lung ART試験では、完全切除が行われた患者に対する3次元原体照射を評価し、登録された患者の大半は18F-FDG PET-CTによる評価が行われ、ネオアジュバント(術前)またはアジュバント(術後)に化学療法が施行されていた。
・両群とも3年無病生存の成績が想定よりも良好であったが、術後放射線治療を加えることによる無病生存の有意な改善効果は認められなかった。
・IIIA期 N2 非小細胞肺がん患者において、3次元原体照射による術後放射線治療は標準治療としては推奨されない。


<関連wiki>

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