【SPPORT, NRG Oncology/RTOG 0534】前立腺がん術後PSA再発に対する救済放射線治療 ー前立腺床照射のみ vs. 前立腺床照射+アンドロゲン抑制療法 vs. 骨盤照射+前立腺床照射+アンドロゲン抑制療法ー

  前立腺がん, 未分類

【SPPORT trial, NRG Oncology/RTOG 0534】 Pollack AZ, et al. Lancet. 2022. PMID: 35569466
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35569466/

・前立腺がん術後、PSA再発/生化学的再発に対する救済放射線治療
・前立腺床に対する照射へのアンドロゲン抑制療法(ADT, androgen deprivation therapy)や骨盤リンパ節領域への照射の追加
・SPPORT試験、NRG Oncology/RTOG 0534、NCT00567580


<背景>
・前立腺がんに対する前立腺全摘除術後、PSA(prostatic-specific antigen)値の上昇が認められる場合、前立腺床に対する救済放射線治療(PBRT, prostate bed radiotherapy)により、およそ70%の患者では5年時点で増悪なく経過する。
・今回の臨床試験では、前立腺床のみへの照射、前立腺床への照射と4-6ヶ月の短期アンドロゲン抑制療法(ADT)の追加、または短期アンドロゲン抑制療法(ADT)および骨盤部リンパ節への照射(PLNRT, pelvic lymph node radiotherapy)を比較した。

<対象と方法>
・SPPORT試験は多施設共同ランダム化試験。
・適格基準:18歳以上で、前立腺腺がんに対する前立腺全摘除術後、PSAが下がりきらなかった場合(persistently detectable PSA)または、検出不能となった後にPSA値が0.1-2.0 ng/mLとなった患者。
・リンパ節郭清が行われなかった患者、もしくは行われた患者で、臨床的 または 病理学的にリンパ節転移を認めない患者(N0/Nx)を適格とした。
・他の適格基準は、pT2 または pT3、前立腺摘除術後のグリーソンスコア 9以下、全身状態(Zubrod PS 0-1)。
・適格患者を、前立腺のみへの照射群(64.8-70.2 Gy/36-39回)単独群(PBRT単独群)、前立腺床への照射に短期アンドロゲン抑制療法(ADT)を併用する群(PBRT+ADT群)、前立腺床への照射に短期アンドロゲン抑制療法(ADT)と骨盤リンパ節照射(PLNRT)(骨盤照射 45 Gy/25回後、前立腺床へ19.8-25.2 Gy/11-14回)を併用する群(PBRT+ADT+PLNRT群)にランダム化した。
・主要評価項目:増悪回避割合(freedom from progression);Phoenix definition(PSA nadirから 2 ng/mL以上の増加)または臨床的再発(局所、領域リンパ節または遠隔)、または何らかの原因による死亡と定義。
・1,191例の最小経過観察期間 5年時点で、予め予定していた中間解析を行った。

<結果>
・2008年3月31日ー2015年3月30日の期間、適格例1,792例が登録され、3群にランダム化された(PBRT群 592例、PBRT+ADT群 602例、PBRT+ADT+PLNRT群 598例)。
・その後76例が不適格と判明し、解析から除外され、1,716例の評価を行った。
・中間解析時点(1,191例;2018年5月23日にデータカットオフ)、PBRT+ADT+PLNRT群と比較して、PBRT群の5年増悪回避率が不良であった(差異 17.9%, SE 2.9%; p<0.001)。
・PBRT+ADTとPBRT+ADT+PLNRTの比較では、Haybittle-Peto法のボーダーを超えていなかった(p=0.0063)。
・中間解析からさらに経過観察を行い、2021年5月26日にデータカットオフを行い、最終解析を行った。
・生存例の経過観察期間の中央値は8.2年(IQR 6.6-94年)
・5年増悪回避生存率は、PBRT群 70.9%(95% CI 67.0-74.9%)、PBRT+ADT群 81.3%(78.0-84.6%)、PBRT+ADT+PLNRT群 87.4%(84.7-90.2%)。
・プロトコール基準では、前立腺床への放射線治療のみ(PBRT群)や前立腺床照射へアンドロゲン抑制療法を併用(PBRT+ADT群)した場合と比較して、前立腺床に対する放射線治療へのアンドロゲン抑制療法と骨盤部リンパ節照射を追加した群(PBRT+ADT+PLNRT)の増悪回避割合が良好であった。
・放射線治療後3ヶ月以内(急性期)のグレード2以上の有害イベントの発生率は、前立腺床照射+アンドロゲン抑制療法+骨盤部リンパ節照射(PBRT+ADT+PLNRT)に多く認められた(44%)(PBRT単独群 18% [p<0.0001]、PBRT+ADT群 36% [p=0.0034])
・同様にグレード3以上の有害イベントも前立腺床照射+アンドロゲン抑制療法+骨盤部リンパ節照射群(PBRT+ADT+PLNRT群)に多く認められた。
・晩期毒性(放射線治療後>3ヶ月)として、グレード2以上の血液/骨髄イベントの発生が、前立腺床照射+アンドロゲン抑制療法(PBRT+ADT)と比較して、前立腺床照射+アンドロゲン抑制療法+骨盤リンパ節照射(PBRT+ADT+PLNRT群)に多く認められた(one-sided p=0.0060)。
・その他の晩期毒性はグループ間に明らかな差を認めなかった。

<結論>
・今回のランダム化試験結果から、前立腺がんに対する前立腺全摘除術後、persistent PSA / PSA再発に対する救済治療において、前立腺床に対する救済照射へ短期アンドロゲン抑制療法と骨盤リンパ節照射を追加することにより、増悪リスクを低減できることが示唆された。


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