【FIRE-SCLC】小細胞肺がん、脳転移に対する定位放射線治療(SRS) vs. 全脳照射(WBRT)

  小細胞肺がん, 転移性脳腫瘍

Rusthoven CG, et al. JAMA Oncol. 2022. PMID: 32496550
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32496550/

・小細胞肺がん、脳転移に対する第一選択治療
・定位放射線治療 vs. 全脳照射
・FIRE-SCLC Cohort Study


<重要性>
・多くの組織型の脳転移に対しては定位放射線治療(SRS, stereotactic radiosurgery)が好まれるが、小細胞肺がんの脳転移では依然として全脳照射(WBRT, whole brain radiotherapy)が標準治療となっている。

<目的>
・第一選択治療として定位放射線治療(SRS)の治療成績を全脳照射(WBRT)と比較する。

<対象と方法>
・FIRE-SCLC(First-line Radiosurgery for Small-Cell Lung Cancer)は多施設共同コホート研究で、第一選択治療として定位放射線治療(SRS)と全脳照射(WBRT)後の治療成績を比較した。
・2017年10月26日-2019年8月15日にデータを集積、2016年8月16日-2019年11月6日の期間にデータを解析した。

<治療介入>
・小細胞肺がん脳転移に対して定位放射線治療(SRS)または全脳照射(WBRT)を施行

<評価項目>
・定位放射線治療(SRS)後と全脳照射(WBRT)後の全生存(OS)、中枢神経増悪回避期間(TTCP, time to central nervous system progression)、中枢神経無増悪生存(CNS-PFS, central nervous system progression-free survival)を比較した。

<結果>
・1994-2018年の期間に、定位放射線治療(SRS)が行われた710例(年齢中央値 68.5歳、男性 74.8%)を解析した。
・全生存期間(OS)の中央値は8.5ヶ月、中枢神経増悪回避期間(TTCP)の中央帯は8.1ヶ月、中枢神経無増悪生存期間の中央値(CNS-PFS)は5.0ヶ月であった。
・治療された脳転移の個数により層別化を行った場合の全生存期間(OS)の中央値は、単発 11.0ヶ月(95% CI 8.9–13.4)、2-4個 8.7ヶ月(95% CI 7.7-10.4)、5-10病変 8.0ヶ月(95% CI 6.4-9.6)、11病変以上 5.5ヶ月(95% CI 4.3-7.6)であった。
・競合リスク解析において、12ヶ月局所増悪率は7.0%(95% 4.9-9.2%)、中枢神経の遠隔再発率は41.6%(95% CI 37.6-45.7%)であった。
・髄膜病変の増悪(10.8%、46/425例)や中枢神経病変に伴う死亡(12.4%、80/647例)は比較的少なかった。
・Propensity score matchingを用いて定位放射線治療後(SRS)と全脳照射後(WBRT)を比較した場合、全脳照射(WBRT)後の中枢神経病変増悪回避期間(TTCP)が良好であった(HR 0.38, 95% CI 0.26-0.55, p<0.001)が、全生存の改善効果は認められなかった(定位放射線治療後 6.5ヶ月、全脳照射後 5.2ヶ月, p=0.003)。
・中枢神経無増悪生存(CNS-PFS)も、全脳照射による有意な改善はみられなかった(定位放射線治療後 4.0ヶ月、全脳照射後 3.8ヶ月, p=0.79)。
・頭蓋外の転移病変や頭蓋外病変の制御の状態を因子として組み入れた多変量解析でも同様の結果であった。

<結論>
・小細胞肺がん、脳転移に対する定位放射線治療(SRS)と全脳照射(WBRT)においては中枢神経病変増悪回避期間(TTCP)は全脳照射後で良好であったが、全脳照射(WBRT)による全生存(OS)の改善効果は認められず、他の腫瘍で確立されているようなトレードオフが認められた。


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