高齢者乳がん T1N0, ホルモン受容体陽性, HER2陰性 ー 再発スコアによる乳房温存術後放射線治療のベネフィット予測 ー

  乳がん

Chevli N et al. Radiother Oncol. 2022. PMID: 35772577
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35772577/

・70歳以上のT1N0、エストロゲン受容体/プロゲステロン受容体陽性、HER2陰性 乳がん
・再発スコア(21 – gene recurrence score)による放射線治療のベネフィット予測


<目的>
・CALGB 9343試験の結果に基づき、70歳以上のT1N0、ホルモン受容体陽性、HER2陰性の乳がん患者で乳房温存手術(BCS, breast conserving surgery)と内分泌療法(ET, endcrine therapy)が行われる患者では、放射線治療(RT, radiotherapy)の省略が考慮される。
・CALGB 9343試験では再発スコア(RS, recurrence score)テスト(Oncotype Dx)による層別化がなされていない。
・今回の後ろ向き研究では、乳房温存手術後に放射線治療によるベネフィットが存在する患者を再発スコア(RS)により予測できるかを評価した。

<対象と方法>
・National Cancer Database(2004年-2017年)より、70歳以上のT1N0、エストロゲン受容体陽性 / プロゲステロン受容体陽性、HER2陰性の乳がん患者に対し、乳房温存手術と内分泌療法が行われた患者を抽出した。
・再発スコア(RS)に基づき、患者を3群に層別化した(低リスク 0-10、中間リスク 11-25、高リスク 26-99)。
・放射線治療が行われた患者と行われなかった患者を propensity score により(1:1)の割合でマッチングさせた。
・Kaplan-Meier法を用いて全生存(OS, overall survival)を評価した。
・Cox proportional hazards解析により、単変量解析および多変量解析を行い、全生存の予後因子を同定した。

<結果>
・合計 11,891例が選択基準を満たした(低リスク群 3,364例、中間リスク群 7,305例、高リスク群 1,222例)。
・合計で79%の患者に対して放射線治療が行われていた(低リスク群 77%、中間リスク群 79%、高リスク群 85%)。
・高リスク群では、有効的なpropensity score matchingができなかったため、中間リスクと高リスクの患者を統合してマッチングさせた(中間リスク / 高リスク)。
・低リスクの患者の5年全生存率は、放射線治療が行われた患者で91%、放射線治療が行われなかった患者で89%で、有意差を認めなかった(p=0.605)。
・中間リスク / 高リスク患者の5年全生存率は、放射線治療が行われた患者で91%、放射線治療が行われなかった患者で87%(p=0.003)。
・低リスク患者群の多変量解析において、放射線治療と全生存との有意な関連性は認められなかった(p=0.727)。
・中間リスク / 高リスク患者群の多変量解析において、放射線治療は良好な全生存の有意な予後因子であった(p=0.010)

<結論>
・高齢者のT1N0、ホルモン受容体陽性、HER2陰性患者において、低リスクの患者では放射線治療による全生存の改善効果は認められなかったが、中間リスク / 高リスクの患者では放射線治療による全生存の改善効果が認められ、再発スコア(RS)が11以上の患者では、放射線治療による地固め療法が推奨される。


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